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蝉氷坊のブログ

 文殊会通信(読書、映画、美術、酒をめぐる片言隻句)ぶらぶらあるき(県内篇・県外篇)梵夫の時間(おりおりの日誌)

文殊会通信第25号 2014年10月1日

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海*堂  消息

 

●最近読んだ本

終活なんておやめなさい』/ひろさちや/青春新書/2014.6 ★★★

 

 この頃は,歯ごたえのある本を読むことがない。読みたい気持ちはあるのだが・・・。今月も同様、寝る前の20~30分の睡眠薬代わり読書。

 第一章「遺言書は無用」は、なるほどその通り。遺言書があったためにかえって無用な争いを遺族の間に呼び込んでしまう。遺言書がなければ、遺族は話し合うことになり、結果として法定相続分を踏まえた妥当なところに落ち着くことになるだろう。ならば遺言書は財産については書かない方がよい。もし書くなら家族に対する感謝や思いやりの言葉を残す方がよいだろう。

 次には、葬式、墓、戒名の無用にそれぞれ章が割かれる。著者は仏教学の専門家であり、インドに始まった仏教は各国各地方に伝播する過程で、その地方の様々な文化や習慣を取り入れながら発展していったことは百も承知のはず。しかし、以前どこかに書いていたように仏教原理主義者を標榜していて、この本ではそれがかなりー記述はソフトながらもー激しさを増してきているようだ。時々僧侶に対する批判が垣間見えるが、それは著者の中で僧侶に対する不信感が増大してきた結果だろうと思われる。この本はこの頃世間で話題になっている「終活」に対する馬鹿らしさに端を発している様だが、背景には現代日本の仏教に対する不信感があるのではないだろうか。

 

 

高*庵  消息

 

 しばらくお休みです。

 

 

蝉氷坊  消息

 

●最近読んだ本

1.『岬』『化粧』他 中上健次選集(2)/中上健次小学館文庫 ★★★

 

 『岬』は『枯木灘』『地の果て至上の時』と続く「紀州三部作」の第一作。この「紀州もの」といわれる一連の作品は修辞や文体を味わう、いわゆる文学的に愉しむという類いの小説ではなさそうだ(『地の果て至上の時』は未読)。また、物語の設定や登場人物たちにも共感しにくい。それでも、地の文も登場人物たちの会話もが、さし迫った不安のような空気を醸す。端的に言えば、危うい小説である。

 先に読んだ『枯木灘』では秋幸が中心に描かれていたが、『岬』は彼を取り巻く親族の方に比重が置かれる。『枯木灘』と同じく一人称だが、『岬』では秋幸はやや背景に引き、前景となる「家」(=血族)が親族それぞれの言動から次第にその輪郭をあらわしてくる。物語世界の中心には異父姉の恵美がいて、彼女以外の親族は等分・等距離に描かれているように思われる。秋幸は恵美に対して屈折した感情を抱きながら、異母妹・久美(『枯木灘』ではさと子)と交わるところで小説は終わる。

 Wikipediaを見ていたら、中上健次の『蛇淫』は映画『青春の殺人者』(1976年、ATG作品、主演は水谷豊原田美枝子)の原作だとあった。映画はずっと以前に観たが、その時中上健次を意識してはいなかった気がする。

 いすれにしろ、中上健次は若い人こそ読むべきだろう。

 

■アート全般

映画『ハンナとその姉妹』/ウディ・アレン監督/1986/WOWOW ★★

 

 ウディ・アレンという監督、実はあまり好きではない。有り余る才能をそれと分からないように巧みに隠しながらサラリと作ってしまう、一種の嫌みを感じるから。まあ、おしゃれでもなく、都会人でもない私のひがみではある。

 ソフィスティケートということば、こんな人と作品のためにあるのだろう。

 

音楽『World Sinfonia』/アル・ディ・メオラ/1990 ★★★

 

 アコギ(アコースティック・ギター)の音が好きなので、ジャンルを問わず探している。

 アル・ディ・メオラはアメリカのギタリスト。この人の名は知らなかったが、かつてメンバーだった「リターン・トゥ・フォーエヴァー」というジャズ・フュージョン系のグループなら以前レコードを持っていた(ただし、アル・ディ・メオラ在籍期のものではない)。

 アコギのCDを検索したら推奨されていたのがこの人の作品。数多いアルバムの中で評価が高かったこのCDをとりあえず買ってみた。なかなかいいんだが、期待が大きかった分物足りなさも。

 よく聴く手元のアルバムは『ディパーテッド』(サントラ、音楽はハワード・ショア、2006年)、『YAMANASHI BLUES』(カリフォルニア・ギター・トリオ、1993年)。

 

▼今読みかけの本

1.『アップデートする仏教』/藤田一照・山下良道/幻冬舎新書/2013.9

 

2.『戦場の狗』―ある特務諜報員の手記―/和気シクルシイ/筑摩書房/1993.1

 

【編集後記】

 通算25号です。

 お盆過ぎからこのかた忙しい日が続いています。雑事の類いも多く、とても「心平らけく安らけく」の状況になれません。自戒だけではどうにもならないが、どうにかせねばとは思うのであります。

 写真は境内に咲いた曼珠沙華。去年の秋もらったたくさんの球根から20~30ほどの芽が出て、彼岸花の別名通り秋彼岸直前に花をつけました。来年は群生を期待したいところ。

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蝉氷坊通信メンバー  蝉氷坊 1954年生   海*堂 1954年生   高*庵 1958年生   法*斎