読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

蝉氷坊のブログ

 文殊会通信(読書、映画、美術、酒をめぐる片言隻句)ぶらぶらあるき(県内篇・県外篇)梵夫の時間(おりおりの日誌)

文殊会通信 第17号 2014年2月1日

f:id:senhyo-bo:20131211212317j:plain

 

海*堂  消息

 

 

●最近読んだ本

『あいさつは一仕事』/丸谷才一朝日文庫/2013.4/★★★

 

 寝る前の20~30分に読む本。結婚式、葬儀、偲ぶ会、祝賀会などでの挨拶や弔辞、祝辞を集めたもの。挨拶の言葉そのものが簡潔で深い文芸評論になっているのは著者ならでは。

 著者のスピーチには以下のようなきまりがあり、参考になる。

 1.まず、どんなスピーチでも原稿を作る。

 2.原稿はしかるべき人に見てもらう。

 3.失言に気をつける。 

 4.長すぎない。 

 5.引用は一つにする。

 6.おもしろい話を入れる。

 7.悪口はだめだが、ゴシップを有効に使う。

 8.褒めること。悪口を一つ入れたら十か二十褒める。

 

▼今読みかけの本

『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』/青木薫講談社現代新書/2013.7

 

 寝る前の20~30分に読む本。今回はこれ。

 

~今月のお題(先月のお題)~

■私の人生を変えた本

『禅』/佐橋法龍/角川選書/1968.10

 

 大学入学した年の7月に購入している。この本によって佐橋老師を知ることになり、後の出会いにつながるのである。初版は佐橋老師、40歳の時であるから、執筆は30代の終わりごろか。これには今更ながら驚く。当時はどれほど理解できたか心もとないが、今読んでみてもとてもこの水準には及ばない。久しぶりに手に取ったが、いかに今まで不勉強だったか、忸怩たる思いに駆られる。

 

 

~今月のお題~

●思い出の本(小学校編)

 

 小学校の時は、漫画に明け暮れていたので、まともに本を読んだ記憶がない。通信簿にも、授業中にも漫画を書いてばかりいると叱責の言葉が書かれたことがあった。漫画のおかげで人よりも漢字や言葉を知っていたということはあったが。

 

▼酒肴全般

山廃純米 雪の茅舎/(株)齋彌酒造店/秋田県由利本荘市/★★★★

 

 何かで評判を知り、いつかは味わってみたいと思っていた。時々覗いてみる食品店の酒類コーナーでもみかけないのでそのうちネットで注文しようと思っていたら、偶々市内のデパ地下で発見。香りは弱く、わずかな酸味でさっぱりした辛口(+3)ながら豊潤さもあってうまい。もう一種類あった純米吟醸も購入。こちらは次回にでも。

 

 

高*庵  消息

 

 今月はお休みです。

 

 

蝉氷坊  消息

 

 

■最近読んだ本

1.『仏教シネマ』/釋徹宗・秋田光彦/文春文庫/2013.9 ★★★★

 

 浄土真宗の釈氏は博学多才な気鋭の宗教学者、浄土宗の秋田氏は元映画プロデューサーで現在は寺院を拠点にした社会活動家、ともに現役の僧侶である。

 この本はただの映画好きの坊さんの、オタク対談ではない。映画に描かれた儀式や慣習、僧侶の描かれ方などを通して、宗教とくに仏教についてかなり突っ込んだ、しかもまっとうな議論を展開する、上質の説教本である。

 映画『おくりびと』に対する違和感などの頷ける意見、現代のスローライフ地産地消につながる仏教経済学の話などの傾聴すべき知見も多い。

 私(蝉氷坊)はアクティブな仏教者を「動く僧侶」と呼んでいるが、この二人はその名にふさわしい。釈氏はテレビ出演の機会も多い(最近ではNHKのEテレ「落語でブッダ」という番組で見た)が、グループホームの経営を通したグリーフワークにも取り組む。秋田氏はフリーター非正規雇用の若者たちに、生きる意欲と生き甲斐づくりの場所として寺を開放した活動を行っている。

 数年前、高橋卓志氏(臨済宗僧侶)の『寺よ、変われ』という本を読んだ。寺が変われば世の中が変わるほどのパワーになるという、まさに坐禅における警策(きょうさく)のごとき内容だった。しかし、実状は…。寺よ、変わろう!

 

2.『アメリカでいちばん美しい人〈マリリン・モンローの文化史〉』/亀井俊介岩波書店/2004.12、『マリリン・モンロー』/同/岩波新書/1987.7 ★★★

 

 前号で書いた『「セックス・シンボル」から「女神」へ~マリリン・モンローの世界~』(昭和堂/2010.1)の同じ著者による関連本2冊。

 『アメリカでいちばん美しい人』、タイトルも美しい。

 

●今読みかけの本

1.『満洲事変』/緒方貞子岩波現代文庫/2011.8

 4ヶ月目。なかなか進まない。

 

2.『朝鮮人徴兵・徴用に対する日本の戦後責任~戦後日本の二重基準~』/青柳敦子/風媒社/2005.5

 

~今月のお題~

▼思い出の本(小学校編)

 

 印象に残っている物語がふたつある。

 ひとつは人間そっくりに変身できる異星人が現れ、ある町の住人全員を殺して入れ替わる、という話。大学時代にジャック・フィニイの「盗まれた街」を読み、似た話を小学生の時に読んだことに思い当たった。光瀬龍とか眉村卓あたりの初期の短篇かとも思うがはっきりしない。あるいはジャック・フィニイの翻案ものだったかもしれない。石ノ森章太郎の作品にも似たストーリーのものがあった。ただ、りっぱな造りの本だったことと学校の図書室で読んだことを憶えている。

 もうひとつは、「さとりの化けもの」という話。人の心を読んで考えたことを次々に言い当てて最後には食い殺すという妖怪で、岐阜県山形県に伝承があるらしい。小学校の時、希望者を募って読み物や参考書を販売することがあった。美術展の図録のような体裁の本だった。5、6編の昔話が載った中にあったのがこのさとりの話である。

 このふたつの物語は、非常に怖ろしかった、という記憶で強く印象に残っているのである。

 

■アート一般

カティンの森』/アンジェイ・ワイダ監督/2007/NHK BS ★★★★

 

 正しい戦争史というのはあるのだろうか。歴史観があり、政治があり、かつての交戦国との外交がある中で、真実を見いだすのは簡単ではない。

 自国の歴史の暗部をどう映像化するのか。世界的に評価の高いA.ワイダ監督にしてなし得た映画化なのであろう。構想に50年、製作に17年かかったとWikipediaにある。監督の父親もこの事件の犠牲者のひとりであるという。

 「カティンの森」事件は第2次大戦の初期、ソ連ポーランドの将校ら一万数千名を虐殺した事件のこと。カティンは死体が埋められた現場近くの森の名前である。

 銃による虐殺シーンは陰惨極まる(r15指定=15歳以下禁止)。誰もが死の直前聖書の引用と思われる祈りを口にするが、言い終わるか終わらぬうちに撃たれ、一人またひとりと死んでいく。祈りの言葉を持つことは幸いかも知れないが、その死は少しも荘厳ではない。兵士も聖職者も無惨に斃れるだけだ。

 戦時中、ドイツはソ連による犯行であることを宣伝したが、戦後は逆にソ連がドイツによるものだと反論した。さらに、戦時中両国に分割されていたポーランドが一応の復活を果たしたのちも、この事件について語ることは長くタブー視された。戦後のポーランド政権があらゆる面でソ連の庇護下にあったためである。

 この映画でも戦後のポーランドの複雑で微妙な状況が、戦争を生き抜いた登場人物たちのことばと行動に影響を与える。真実を語る者は拘束され、風向きを見るのに敏なる者は出世する。虐殺された肉親の追悼すらままならず、反政府的な言動は常に監視された。現代も問われ続ける戦争の癒えぬ傷である。

 

●酒肴全般

純米大吟醸 久保田 萬寿/(株)朝日酒造/新潟県長岡市/★★★★

 

 元旦早朝、元朝詣りのスタッフと恒例の酒盛りで。久保田というと「水のような」さらりとした口あたりのイメージがあるが、初めて飲んだ萬寿は少し違った。淡白な中にも複雑な味がある。淡香妙味とするとやや近いような、ずれるような…。日常飲むレベルの酒ではないので、旨くないとね。

 

 

【編集後記】

 通算17号です。

 亀井俊介氏の諸作を読んだこのひと月、車でずっとマリリン・モンローの歌を聴いていました。声に華やいだ明るさがあります。彼女の歌を、私たちは彼女の肉体的な魅力というフィルター越しに鑑賞してしまいますが、一歩引いてその歌唱を素直に聴けば、素人目(耳?)にもそのうまさをうかがうことができます。おそらくは女優としての演技もそうなのでしょう。

 マリリン・モンローは非常な努力家だったようです。『ナイアガラ』で準ヒロインとして注目され『七年目の浮気』でトップスターとなっても、その後も長く密かに、あるいは公然と演技を学び続けたといいます。

 亀井氏によれば、アメリカでもっとも有名な俳優養成所のひとつであるニューヨークの「アクターズ・スタジオ」の指導者であったリー・ストラスバーグという人は、もっとも才能に恵まれた俳優としてマーロン・ブランドとともにマリリン・モンローの名前を挙げているそうです。まさにビッグネーム、という感じがしますね。

広告を非表示にする
蝉氷坊通信メンバー  蝉氷坊 1954年生   海*堂 1954年生   高*庵 1958年生   法*斎