蝉氷坊のブログ

 文殊会通信(読書、映画、美術、酒をめぐる片言隻句)ぶらぶらあるき(県内篇・県外篇)梵夫の時間(おりおりの日誌)

文殊会通信 第8号 2013年5月1日

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From 海*堂

 

●最近読んだ本

 

 情けないことに今月の読了本なし。

 

▼今読みかけの本

1.『犀の角たち』/佐々木閑大蔵出版/2006.7

 

 同著者の『仏教は宇宙をどう見たか』/化学同人/2013.1 を先月購入し、「あとがき」に目を通したところ、『犀の角たち』の続編とのことだったので、6年前に購入して読みかけのままだったこの本の読了を目指しているところ。内容は科学と仏教の関係を論じたもの。第1章 物理学、第2章 進化論、第3章 数学と三分野の科学史、そしてようやく第4章 釈尊、仏教 に入ったところ。大変興味深い。本に挟まっていたレシートを見たら青森の成田本店だった。そう言えば何かの会合があって早めに到着し、書店漁りをしていて偶然見つけた本だった。評価は次回。

 

2.相変わらず、睡眠導入剤の『人間臨終図鑑』Ⅲ

 

 73歳以上の死んだ人々。ガン、脳卒中心筋梗塞の他に、この年代になると肺炎が多くなる。風邪を悪化させたものの他に、体力の低下に起因するもの(なんと書いてあったか本の中から病名を探し出せない)も多い。

 

 

■アート全般

 「世界の名画」/BS朝日/毎週木曜9PM ★★★★

 

 これも録ってはいるがなかなか見られず、今回見たのは去年の6月に録画したルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像」をテーマとしたもの。この清楚で、上品な少女の肖像画はルノワールの代表作の一つとして有名。このモデルとなった少女の数奇な運命も語られるが、「幸福の画家」と言うタイトルのもとにルノワールの半生が語られる。

 ところが、『人間臨終図鑑』Ⅲによると、「78歳で死んだ人々」のルノワールは、1879年、38歳の時、この絵を制作する前年にあたるが、彼の後半生を苦しめる難病のもととなるけがをする。60歳の時には歩くのに2本の杖を必要とし、66歳の時には、マイヨールから「見るも無惨な姿」と評され、1912年、師事した梅原龍三郎は「二本の松葉杖に引懸ったぼろ服」に見えると書いている。その後「人間のていをなさぬ」と言われるほどになりながらも生命力には満ちあふれ、死のその日までも絵筆を指にくくりつけて描いたという。やはり幸福の画家だったのか。

 

【編集人から】

 私も民放BSの美術番組をときどき録って観ます。エンタ調の画面と語り口は、NHKなどとひと味違ってそれなりに楽しめます。

 ところで、これだけ放送局があるのだから絵なり、美術館なりをBGMやナレーションなしで流してくれる番組があったらと思いませんか(スカパー!などの有料チャンネルにはあるかも)。NHKの「さわやかウインド」のような。

 

●この一盞

 純米/樽平、住吉/樽平酒造/山形県川西町 ★★★★

 

 これも仙台時代の愛飲酒。よく行く飲み屋においてあり、同輩後輩とよく飲んだ。どちらも樽の木の香が残る山吹色の酒。住吉の方が辛口。酸味もこちらが少し強めだったと思う。大変特徴のある酒だが、飲み飽きることはなかった。もう20年ぐらいは飲んでいない。市内でも見かけなかったように思う。ところが暫く前、四合瓶をおいてある店を発見。しかも両種ある。そのうち買いに来るぞうと思っているうちに忘れ、先日思いついて用事のついで行ってみたら無かった。今はネットでも買えるけれど、現物との出会いが嬉しいのだが。

 

From 高*庵

 

▼最近読んだ本

 

 哀しいことに、四月は何一つ読みませんでした。なぜかというと、諸々の事情で読書する時間も、心の余裕もなかったですね。

 面白いことに、そうなると毎月文庫本一冊でも本を購入してたんですが、それすらなしになってしまいました。

 人生には、書物より優先しなくちゃならないことがままあるものです。(笑)

 

■今読みかけの本

 

 読みかけだらけです。(笑)

 唐詩や近代詩の本を結構購入したので、じっくり読みたいところなのですが…。

 

●これから読む(購入する)予定の本

1.『おもかげ復元師』/笹原留似子/ポプラ社/2012.8

 

 友人から借りました。東日本大震災で津波や火災で大きな損傷を受けた遺体を、生前の姿に戻す「復元ボランティア」として活躍し、TVでも大きな反響があった著者がつづるノンフィクション。

 友人に「絶対泣くよ…」と言われました。未読。

 

2.『葬送儀礼と民俗』/曹洞宗総合研究センター編/2013

 

 先日宗務庁から送られてきました。

 日頃研修や勉強というと、とかく宗乗の勉強が主体とされがちです。特に曹洞宗内部となりますと、「正法眼蔵」や「伝光録」の参究が中心ということになりましょうか。

 しかし、私達宗侶が日々なりわい?としている葬儀や年回供養、特に地方色、地域性が強いその行事の意味、内容を私達宗侶自身が知らなすぎるのではないかと最近痛切に感じていました。

 ここら辺のことを書き始めると長くなりますのではしょりますが、

今いただいたこの本は、その点実に私の今の要求に合致しています。

 じっくり読んでみたいと思っています。

 

【編集人から】

 はしょらないで書いてください。次号にぜひともお願いします。

 ポプラ社といえば子ども向け書籍の出版社というイメージでしたが、文芸書も力が入った良書が出てますね。林真理子や渡辺淳一が文庫に入っているのは最近知りました。でも、私としてはポプラ社といえば『きかんしゃトーマス』のイメージだなあ、やはり。

 

▼アート全般

 

 また4月もセザンヌの絵画を眺めながら過ぎていきました。1906年、67歳でセザンヌが世を去って今年で107年になります。

 「セザンヌは同時代の誰もが自覚しなかった課題に生涯を賭け、その作品は今日なお大きな可能性をはらんで存在し続けているのである。」 中原祐介

 「けれども、これだけ多くのことばが費やされたにもかかわらず、セザンヌが十分理解されたとは思われない。」 中山公男

 ヴェントーリやリヴォルドのように、セザンヌ研究に生涯を賭けた研究者はこの百年何人もいたことでしょう。

 しかし、私もこの巨大な芸術家の作品を前に、何一つ語る言葉を持ちません。

 

■酒肴全般

 

 暖かくなってくると、冬の間飲んでいた芋焼酎のお湯割りや日本酒の熱燗から少し足が遠のくような気がします。

 どうも1年365日お酒を飲んでいるので、少しマズイかなァと思っていたところ、ある人から減酒を勧められ、なんと2千数百日ぶりに(笑)休肝日を作りました。それも週に2日!

 2日ともロクに眠れなくて困りました…。

 何年もワインから遠ざかっていたのですが、最近またチビチビ飲んでます。

「ボーシャテル・メルロー 2011」普通のテーブル・ワインでしょうが、普通に?おいしいです。

 肴はビールのおつまみには、最近豚ガツが好きですね。娘もおいしいと言ってハシを出すんです。(笑)

 

From 蝉氷坊

 

●最近読んだ本

1.『黒澤明集成』Ⅰ/キネマ旬報社編/1989.3 ★★★

 

 全3巻の初巻、以前古本で買ったが放っておいたもの。

 前々回、『化身』という勝新太郎主演の映画について書いたとき、黒澤明監督の『影武者』の事件を思い出した。当初の主演、勝新太郎の降板に関した部分だけ読むつもりがほかのページも読みふけってしまった。

 『影武者』の主演交代は大きな騒動になり、映画ファンならずとも注目する一大事件だった。前作『デルス・ウザーラ』の興行的失敗により危ぶまれていた『影武者』の製作は、フランス資本の出資によってようやく実現にこぎつける。それだけに黒澤の意気込みは相当なもので、製作現場もかなり緊張していた。本書によれば、ことの真相は勝新がリハーサルを録画したいと申し出たのに対して黒澤が拒否した、というものである。演技の研究のためとはいえ、監督からすれば出過ぎた行為には違いない。初出演の黒澤映画にかける勝新の勇み足、と取るのは好意的過ぎるかも。

 黒澤映画の評価はさまざまで、活字化されているものも多い。WEB上でも、作品の善し悪し、個人的な好き嫌いについて多くの情報が手に入る。私自身嫌いな作品はないが、最後まで観るのがしんどいと思う作品はある。ただ、多くの作品の主人公に通底するイノセントな精神、ピュアな生き方には共感もし、胸を打たれる。黒澤明という人物も黒澤映画の一部だったのだろう。

 

2.『大陸の花嫁』からの手紙/後藤和雄/無明舎出版/2011.8 ★★

 

 著者の母ら満洲開拓移民として生きた女性が残した手記からその生涯を再構築し、次代に伝えようという意図で書かれたもの。

 一般論として、開拓移民という国策のもとで移民した人たちに「加害性」を問うことはできるのだろうか。本書では、岩見照代(麗澤大学教授)の論文「「満州」開拓の光と影ー砕かれたユートピア」が述べる「大陸の花嫁」の「加害性」についてこう反論する。

 …「大陸の花嫁」を選択した当時の女性たちを追求・批判するのは、筋違いであると筆者は思う。自由や選択肢が限定されていた時代にどのような行動が取れたというのか、先人たちの大きな犠牲のもとに今日があることを自覚した上での議論であってほしいものである。…

 私は1993(平成5)年、第十次満洲開拓団墓参の旅に同行したことがある。町制30周年記念事業の一環として、当町(戦時中は村)から分村移民した人たちやその家族が、旧開拓地の訪問と物故者の慰霊を目的に中国東北部を訪ねる旅であった。約130人いた参加者のほとんどは開拓者本人もしくは開拓地で生まれた人たちで、旅行中さまざまな話をうかがった。けれども開拓民の「加害性」はもとより、当時の政府や軍部の責任に関する話題はついに誰からも聞くことはなかった。

 自分たち(開拓民)の安全と農作物の管理のために実弾をこめた銃で昼夜見張りに立ち、開拓地の元の持ち主である中国人を使用人として使役した回顧談を話す人たちが、国策に全く無自覚であったとはとうてい思えない。

 現地で受けた終戦時の迫害や引揚げの苦難が何によってもたらされたものか、について開拓民全員が考えをめぐらしたはずである。人によっては現在まで続いている作業であろう。そうであるなら、少なくとも政治家や軍人の責任について考える義務は負うべきではないのか。

 

▼今読みかけの本
1.『河原ノ者・非人・秀吉』/服部秀雄/山川出版社/2012.4

 

2.『ふしぎなキリスト教』/橋爪大三郎・大沢真幸/講談社現代新書/2011.5

 

■アート全般

 「青森県立郷土館所蔵絵図セレクト展」/青森県立郷土館 2013/4/27~5/6 ★★★★

 

 なかなか見る機会のない古地図・絵図の実物、青森県関連の23点を展示した特別展。青森であった会議までの空き時間、じっくり見ることができた。

 中で興味深かったのが展示ナンバー1番の「従奥州南部武州江戸迄海陸之図」。タテ41センチ、ヨコ720センチの横長の絵地図。会場の入口方向から見ると江戸から始まっているのだが、実は北海道松前から南下して江戸に至るまでの、つまりは上りの街道筋を描いたもの、と解説にある。江戸方面から見て、白河あたりまではかなり詳しいがそこを過ぎるあたりからややおおざっぱに。盛岡を越えると描写はさらにアバウトになり…。

 東北自動車道を北上するとき経験すること。福島・宮城あたりは交通量も多くハイウェイという感じだが、岩手に入るとだんだん車の数は減り、盛岡を過ぎたとたんに車がなくなる。農免道路と変わらない…。そんなことを連想した。

 GW限定の企画展なので今すぐ見ましょう。お勧めです。大型の虫眼鏡を持って行くといいかも。

 

●酒肴全般

 いわゆる濁り酒について。

 

 地元では「オーホ(またはオッホ)」という。毎年春彼岸になるとわざわざ届けてくれる人(女性)があり、4月下旬の役員総会に合わせて取り置いてある。少し甘めである。また隣町の某所に名人(女性)がいて、近隣では知られた方である。今年はこの方の酒も手に入ったので懇親会は大いに盛り上がった。

 濁り酒は酒をたしなまない人が作ったのがうまい、といわれている。酒飲みが作るとできあがるまでに味見ばかりしてなくなるから、というのがもっともらしい理由である。しかし、本当かどうかは知らない。おそらく俗信であろう。

 

【編集後記】
 第8号もどうにか発行できました。忙しさに紛れて先延ばしにしていても、取りかかればそれなりに書くことはあるものです。

 ヘッダの写真は庫裡の前の畑に現れたキジの雄。家の周囲にはさまざまな生き物が出没する。キツネ、タヌキ、ウサギ、サギ、キジ、ヤマドリ…。数百メートル離れたところでは数年前クマが出ました。道路や住宅で生息圏が分断され、えさを取れる面積が小さくなっているせいだとか。野生のタヌキはこの歳になって初めて見ました。

 それにしてもこの寒さ、どうしたものか。桜の花もまだまだ。

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蝉氷坊通信メンバー  蝉氷坊 1954年生   海*堂 1954年生   高*庵 1958年生   法*斎